上浜楢江(余 貴美子)は、中堅精密機械メーカーに30年勤める独身。 営業部の業務課で伝票チェックをしているが、その口うるさい性格からお局として周囲に疎まれていた。 しかし、そんな楢江にはもう一つ別の顔があった。 社内で個人的に金を貸し、そのうちの五分を利子として取り立て稼いでいるのだ。 元々は、社員食堂の従業員・岸田茂子(泉 ピン子)がやっていたことを引き継いだもので、そうやって貯めこんだお金で自宅マンションに豪華な調度品や特注のヒノキ風呂などをあつらえ、ささやかな贅沢をしていた。 そんな楢江の目標は、将来貯めこんだ資金をもとにアパートを建て、大家として悠々自適の生活を送ること。 しかし、男の影もなく金にばかり執着する楢江のことを、裏で男性社員たちは“豚の貯金箱”と呼び嘲笑していた。 けれども、楢江の顧客の一人・杉浦淳一(田中哲司)がそんな楢江に興味を持つ。 杉浦は会計課の出納係で働いていたが、競艇に溺れ時々楢江に金を借りに来ていた。 そんなある日、返済が滞った杉浦に対しきつく取り立てていた楢江は、杉浦から逆に強引に迫られてしまう。 杉浦に抗いながらも、動揺する楢江。 そしてある夜、ついに楢江は酔った杉浦が直接借金の返済に自宅を訪ねて来た際に押し倒され、そのまま関係を持ってしまう。 それ以来、杉浦は楢江の顧客リストから外れ、楢江の生活は一変した。 杉浦にはこれまで通り金は貸すものの返済は強要せず、さらには車を買ったという杉浦に資金を援助。自分自身にも贅沢を許すようになり、楢江の生活は少しずつ華やぎ始めていた。 しかし、ほどなくして杉浦に別の女がいることが発覚。 さらに、杉浦がある事件を起こしてしまい…。