参道石段と奇岩怪石の景勝地「山寺」。この山寺から始まった紅花栽培と紅花交易は、この地に莫大な富と豊かな文化をもたらした。豪農・豪商屋敷には白壁の蔵座敷が立ち並び、上方文化とのつながりを示す雅な雛人形や、紅花染めの衣装を身につけて舞う舞楽が今なお受け継がれ、華やかな彩りを添える。山寺や今も息づく紅花畑そして紅花豪農・豪商の蔵座敷を訪ねれば、当時の隆盛を偲ぶことができる。 そんな山寺と紅花文化が紡いだストーリーは、2018年に日本遺産に認定されている。 旅をするのは、ナタリー・エモンズと関西学院大学教授の村尾信尚。 2人がまず向かったのは、紅花の咲き誇る高瀬地区。毎年恒例の伝統行事「紅花まつり」が行われ、2人も飛び入りで参加。紅花に直に触れ、新緑の山々と黄色の絨毯が織りなす風景の中で、アーティストでもあるナタリー・エモンズがあの映画の名曲を口ずさむ。最上川沿いの鮎の名店では、この時期だけの紅花を使った料理に驚き、紅花文化を体感した。 紅花交易によって財を成した商家が残る河北町では、当時の紅花商人が築いた財の大きさを目の当たりにする2人。さらに、「紅花染」の工房では、その美しさ、奥深さを知る。 紅花文化のシンボル「山寺」を訪れると、奇岩怪石が魅せる独特の景観に圧倒される。旅の最後は、山形の漬物文化に触れつつ、斬新で美しい漬物料理に舌鼓。漬物と紅花との意外な関係を知る。山寺と紅花が紡いだ独自の文化を体感できる山形の街を、じょんのびと巡っていく。