尾道三山と対岸の島に囲まれた尾道は、町の中心を通る「海の川」とも言うべき尾道水道の恵みによって、中世の開港以来、瀬戸内随一の良港として繁栄し、人・もの・財が集積した。その結果、限られた生活空間に多くの寺社や庭園、住宅が造られ、それらを結ぶ入り組んだ路地・坂道とともに箱庭的都市が生み出された。迷路に迷い込んだかのような路地や、坂道を抜けた先に突如として広がる風景は、今も昔も多くの人を惹きつけてやまない。そんな尾道の街は、2015年に「日本遺産」に認定されている。 尾道を旅するのは、ナタリー・エモンズと、関西学院大学教授の村尾信尚。 まず2人が向かったのは、町を一望できる千光寺。多くの映画や小説の舞台となった坂の町を階段伝いに登り、中腹では「みはらし亭」でひとときの休息を。ようやく辿りついた千光寺では目の前に広がる景色に疲れを忘れる2人。海、山、家並み、あらゆるものが混在し、まさに箱庭のような景観がそこにはあった。また、尾道を代表する名物「尾道焼き」や「尾道ラーメン」で地元の味に触れ、フェリーで向島まで足を伸ばすと、そこには地元の人々に愛される老舗のパン屋さん、 そしてラムネ屋さんとの出会いが。旅の最後を締めくくるのは、創業180年以上の老舗のお寿司屋さんでいただく「せいろすし」。尾道水道が作りだした、歴史を感じる尾道の町をじょんのびと巡っていく。