仕事の電話をしながら、カツカツとヒールの音を響かせて歩く女性・つばさ(ファーストサマーウイカ)。ふと足を止めると、目の前に趣のある古民家風の和風喫茶『鹿楓堂』が現れる。吸い寄せられるようにつばさが店に足を踏み入れると、着流し姿のスイ(小瀧望)が優しくほほ笑んでいた。 「いらっしゃいませ、鹿楓堂へようこそ――」 小さな悩みや、誰にも言えない寂しさを抱えて店を訪れるお客さまを温かく出迎えるのは、店主でありながらヘタレ天然ぶりを発揮する天真爛漫なお茶担当のスイ、演歌に時代劇とシブい趣味をもちおじいちゃんのように達観した料理担当のときたか(葉山奨之)、照れ屋でツンデレで負けず嫌いな毒舌最年少のスイーツ担当の椿(大西流星)、そしてイタリア人と日本人のハーフで奇怪なラテアートで周りを惑わす裸族ムードメーカーで珈琲担当のぐれ(佐伯大地)。
鹿楓堂で相対する双子の兄弟、スイ(小瀧望)と八京(藤井流星)―。 数年ぶりの再会を迎える2人の間には、どこか緊迫した空気が流れていた。 そんな気まずい雰囲気はお構いなしに、いちごクリーム大福と抹茶シフォンを注文するパティシエの角崎(白洲迅)。スイに双子の兄がいたことに驚きを隠せない椿(大西流星)、ぐれ(佐伯大地)、そして兄弟の過去を知るときたか(葉山奨之)が固唾をのんで見守る中、更に角崎は無邪気にも「で、2人は昔からこんなに仲が悪かったんですか?」と核心めいた質問を投げかける。 その夜、シェアハウスのお風呂が故障したスイらは4人揃って銭湯へ。浮かない表情のスイを気に掛ける3人だが、彼が悩んでいたのは…なんと、ランチの売り上げが落ちていることで…!?
とある日の鹿楓堂――。店内では、リュウジ(曽田陵介)らヤンキー軍団が、“アニキ”と慕うぐれ(佐伯大地)が生み出す奇怪なラテアートを見て大はしゃぎ! さらに、トロトロ豚角煮定食のおいしさにテンション爆上がりのリュウジらは、スイ(小瀧望)やときたか(葉山奨之)を、ぐれが会長を務めるアヒルボート同好会の活動に誘うのだが…? 翌日、公園をランニングしていたぐれは、昼間だというのに学生服姿でベンチに座り込む渡辺洋(翔)を見かける。以前からいつもひとりぼっちで本を読んでいる洋のことが気になっていたぐれは、椿(大西流星)の作ったバターどら焼きを差し出し、アヒルボート同好会に誘う。ぐれの圧を断り切れず、活動に参加する洋だが、リュウジら不良軍団のテンションの高さに慄き、逃げるように走り去ってしまい…。
いつになく若い女性客でにぎわう鹿楓堂――。 「いつもと客層が違う…」と戸惑う面々だが、ときたか(葉山奨之)が配膳した途端、店中の女性客が一斉にスマホで写真を撮り始める!どうやら、陶芸教室の送別会で撮影したときたかの写真が“尊すぎる喫茶店店員”としてSNSでバズッているらしい。 更に、陶芸雑誌記者と名乗る男もやってきて「あの天才陶芸少年に生で会えるなんて」「当時は大変でしたよねお金のために利用されて」「叔父さんとの関係は今は…」などと、ときたかに矢継ぎ早に質問を浴びせる。困惑するときたかをかばうため、スイ(小瀧望)は話に割って入るのだが…。 その夜、シェアハウスでたこ焼きを頬張るスイらだが、まさかのタコなしという、ときたからしくないミスが発覚。慌てて作り直そうとするときたかだが、動揺するあまりたこ焼き器でやけどしてしまう。ひとりで何かを抱え込んでいる様子のときたかが心配で仕方ない3人――。 椿(大西流星)とぐれ(佐伯大地)は「ときたかって昔何かあったの…?」と尋ねるも、スイは「俺も全部は知らないんだ」と固く口を閉ざす。
休日にみんなでスイーツビュッフェに行くことになり、ウキウキと4人で歩くスイ(小瀧望)、ときたか(葉山奨之)、椿(大西流星)、ぐれ(佐伯大地)。しかし、到着したのは、双子の兄・東極八京(藤井流星)が経営するホテル・イーストサイドグランデだった。思わず黙り込むスイだが、背中を押され、ついに初めて八京のホテルに足を踏み入れる…。その夜、庭で物思いにふけるスイを気遣い、毛布を肩にかけるときたか。素敵なホテルでしたねと声をかけるも煮え切らない態度のスイに、「うじうじするんですね…」と突如毒を吐き、「バカバカバカ!」とほうきで攻撃をはじめるときたか。いつも優しく温厚なときたかの豹変にたまげるスイだが、スイと八京の兄弟関係の修復を願う仲間たちの想いを受けとめ、ついに意を決して八京のもとへ向かうことに。
あれから時が流れ2022年4月--。時代に波に飲み込まれ、休業を余儀なくされた鹿楓堂では、店主のスイ(小瀧望)がひとり掃除に精を出していた。一方、ときたか(葉山奨之)はお弁当屋さんに、椿(大西流星)はホテルイーストサイドグランデで角崎英介(白洲迅)と共にパティシエに、ぐれ(佐伯大地)はフードデリバリー宅配員に…と別々の“新しい日常”を歩み始めていた。ようやく再オープンの日が決まり、スイはその前の週末にみんなで出掛けようと3人を誘うのだが、仕事が忙しい3人からあっさり断られてしまう。シェアハウスで一緒に暮らしてはいるものの、生活サイクルが異なるため、ひとりで食事する日々が増えていたスイ。長い時間閉まっていた鹿楓堂に、お客さんも、そして仲間たちも、果たして戻って来てくれるのだろうか…と一抹の不安と寂しさを抱えるスイ。そんな中、ついに迎えた再オープンの日--。誰よりも早く起床し、制服の着流しに袖を通し、帯を締めて鹿楓堂に向かうスイ。しかし、そこで待っていたのは…なんと、ときたか、椿、ぐれに加え、角崎、そして、双子の兄・東極八京(藤井流星)の姿だった!