昔、ある海辺にそれはもう仲の良い、猿と亀がいました。とはいっても二人の住むところは別々で、猿はいつかは美しい竜宮城へ行ってみたいと思っていました。 ある時、竜王の一人娘の乙姫が重い病にかかり、猿の生き胆を食べさせれば病気が治る、と占い師に告げられました。そこで竜王は、亀なら陸へ行けるので猿の生き胆をとってくるように言いつけました。亀は褒美に目がくらみ、猿を騙してまんまと竜宮城へ連れていきました。 猿は、竜宮でたいそうなご馳走や踊りでもてなされ、猿はお酒を飲みすぎてその場でぶっ倒れてしまいました。倒れた猿を運ぼうと、門番のカレイとクラゲが出てきて「バカな猿め、生き胆をとられる事も知らないで」とクスリと笑いました。 猿は意識もうろうとしながらもこの話を聞き、大慌て。そこで亀を呼び出し「陸の木の上に、生き胆を干したままにしてきた」と嘘を言い、再び陸まで連れ戻るように仕向けました。陸に戻った猿は、さっさと木の上に登り「よくも騙したな!カレイとクラゲの話を聞いたんだ」と、亀に向かって石を投げつけました。その石は亀の甲羅に当たり、ヒビが入ってしまいました。 猿を取り逃がした事を知った竜王はカンカンに怒って、カレイの体を二つに断ち割り、クラゲの体から骨を抜きました。そのうえ竜宮からも追い出したので、今でもクラゲは竜宮に帰れず、海の上の方でプカプカ浮いているそうです。 その後、亀と猿はどうしたかというと、いくら亀が呼んでも猿は知らん顔でした。友達を裏切った亀は、ひとりさびしく海へ帰っていきましたとさ。