1928年、東京・下町で小さな町工場を営む両親のもとに生まれた佐野小鞠(広瀬すず)は、飛行機部品の生産を手がける父の影響で空へのあこがれを募らせ、パイロットになりたいという夢を抱きながら大きくなった。しかし、兄は神風特攻隊として出撃して戦死。両親も東京大空襲で亡くしてしまい、ひとりぼっちとなった小鞠は、料亭を営む叔母・千代(松雪泰子)のもとに身を寄せることに。おかげで高等女学校だけは卒業させてもらったものの、料亭の手伝いに明け暮れる日々を送っていた。 そんなある日、小鞠は料亭の一室から「日本の空を日本人の手に取り戻したい!」という決意みなぎる熱い言葉を耳にする。声の主は、逓信省航空保安部長の松木静男(吉岡秀隆)。日本は終戦後、GHQによって一切の航空活動を禁じられていた。