ワゴン車のタイヤがパンクした青山一(中村倫也)は、ガソリンスタンドに立ち寄る。厳つい風貌の店主・ゴンザ(一ノ瀬ワタル)とは知り合いのようで、笑顔を見せる青山に「昔のお前を知っていると身の毛がよだつ」と言いながら整備をしている。 そんな中、一台のトラックがやってくる。セルフでガソリンを入れ始めた運転手の菊川貞夫(野間口徹)は、どこか不機嫌そう。ゴンザ曰く、たまに来店する、声をかけても挨拶すらしない無愛想な客だという。そんな菊川が、思わず動きを止める。青山の珈琲の香りにつられたようだ。「淹れたての珈琲いかがでしょう?」――その声に我に返ったのか珈琲を飲まずに慌てて去ってしまうが、どこか寂し気な様子が気になった青山は、しばらくガソリンスタンドで「たこ珈琲」を開くことに。実は菊川は珈琲を“飲めない”のではなく“飲まない”、ある複雑な事情を抱えていた。 青山は、元バリスタチャンピオンとして珈琲界では有名なカフェ店主・モタエ(光浦靖子)にコピ・ルアックの豆を届ける。“幻の珈琲豆”と言われるインドネシアの高級珈琲豆だ。2人でその珈琲を堪能していると、まもなく始まるワークショップの生徒が来店。その中に垣根志麻(夏帆)の姿を見つけた青山は、思わず影に隠れてしまう。そんなことを知る由もない垣根は、珈琲に興味を持つきっかけとなった青山との出会いを語り始める。一方、珈琲について純粋に教えたいモタエは、“箔付け”のために通う生徒たちとのズレに悩んでいて…。 その頃、ぺい(磯村勇斗)はとあるヤクザ事務所にいた。組員の花菱(渡辺大)に呼び出されたからだ。なにやら青山について話している2人。果たして2人と青山の関係は…? そして青山の隠された過去が徐々に明らかになっていく。