最初の小説「吾輩は猫である」で大和魂を呼号する風潮を風刺した夏目漱石。国家のために留学した英国で「国より個人優先」に目覚めていた。日露戦争後に国家主義が急速に高まり、ついには大逆事件という大思想弾圧が行われると、関西で連続講演を行う。西洋の圧力のもとに行われた日本の開化がいかに浅薄なものかを説いたのだ。そんな漱石に上流階級の子弟が通う学習院での講演依頼が来る。「国家より個人優先」を説くべきか否か。