中山春彦はスクープを狙う報道カメラマン。篠田からの情報を得て麻薬取引のガサ入れ現場のスクープを取ろうとするが撮影に失敗し、マフィアに拳銃で撃たれ死亡してしまう。だが春彦には4時間17分のロスタイムが与えられた。春彦はスクープを取り損ねたことを後悔し、がむしゃらにスクープを狙おうとする。やがて春彦は5年前に別れた彼女・百合子を思い出し、意を決して会いに行く。
都並浩太は蔵間署の捜査課に配属され、凶悪犯逮捕に意気揚々だったが、配属された捜査三課は空き巣や引ったくりを扱う部署な上、定年間近の五味と共に証拠品の整理に明け暮れる日々ですっかりやる気を失っていた。しかし配属されてから3日目、浩太は五味と捜査中、引ったくりの現場に遭遇し、犯人を追いつめるが、浩太は犯人に拳銃で撃たれ死亡してしまう。だが3時間21分のロスタイムが与えられ、犯人を逮捕すべく捜査を開始する。やがて浩太は、自分に発砲してきた引ったくり犯の正体が五味が個人的に捜査していた強盗殺人事件の容疑者であることを突き止め、五味が長年その犯人を追い続けてきた理由を知ることになる。
節約が特技の専業主婦・井原淑子はスーパーのチラシで、牛肉のタイムセール(タイムサービス)があることを知った。たまには豚肉ではなく、牛肉入りのスキヤキを家族に食べさせようと、淑子は主婦たちの追撃をかわし、裏道を抜けて自転車でスーパーに向かっていたが、娘の理香が欲しがっていた振袖の展示即売会のポスターに気を取られて階段から転落してしまう。審判団から2時間29分のロスタイムを与えられ、自分の死期を悟った淑子は、大急ぎでスーパーに駆けつけ、タイムサービスの牛肉争奪戦に身を投じる。
看護師の松永由紀子は、結婚を考えていた恋人の荻野に婚約者がいたことにショックを受け、病院の屋上から飛び降り自殺を図るが、落下する途中で審判団が現れ、4時間44分のロスタイムが始まる。だが、由紀子は再三にわたる審判団の制止を振り切って再び屋上に上がるも、そこで同じく自殺を図ろうとしていた尾元とひょんなことから共に行動することになる。やがて由紀子は自分の人生と向き合う中で、死を選んだことを後悔し始める。
森保甫は自作の漫画が漫画誌「コミックチェケラ」の新人コミック大賞でグランプリを受賞。ようやく幼い頃からの漫画家になるという夢が叶い、母親にも呆れられるほどの有頂天ぶりだった。だが、デビュー作の原稿を編集部に届ける途中、甫は立ち寄った書店でガス爆発に巻き込まれてしまう。事故に巻き込まれた人々がロスタイムを迎える中で、3時間13分のロスタイムを与えられた甫は自分が死んだことに気付き、原稿を届けようと編集部に向かうが、途中で幼なじみの由香里の家へ行き先を変更する。そこで由香里の結婚話を知り、途方に暮れた甫は幼い頃よく遊んだ公園で偶然由香里と出会う。二人は思い出話を語り合り、互いの想いを伝え合うが、残された時間がわずかとなった時、甫は思わぬ形で意外な事実を知ってしまう。
北澤光一は有名になることを夢見る役者だが、遊園地のヒーローショーでは悪役を演じ、受けたオーディションにはことごとく落ち続け、鳴かず飛ばずの現状でいた。ある日光一はオーディションに向かう途中、工事現場でいじめられていた少年を助けたが、その直後、鉄骨に引っ掛かった自分のカバンを無理矢理引っ張ったために落下してきた看板の直撃を受け死んでしまう。5時間01分のロスタイムが与えられ、状況を理解した光一はテレビ局に押しかけ、がむしゃらに役をつかもうとするが上手くいかない。さらにヒーローショーで主役のサンバイザーXを演じる隼也に一度だけ役を代わるよう頼み込むが、断られてしまう。そこで光一は、日頃から隼也に不満を持つメンバーと共に、ヒーローショーの中でサンバイザーXを倒すことを画策する。
昭和63年の荒川区、竜崎組組長の妻・竜崎瑠偉子は、敵対している勝矢組に夫の秀雄が殺され、遺体を持ち去られたことを聞き、仇討ちのため単身勝矢組に乗り込もうと屋敷を出たところを刺客の凶刃に倒れてしまう。2時間59分のロスタイムが与えられた瑠偉子は、残された時間で仇討ちを決行するため、舎弟のタケルと共に勝矢組の事務所を目指していく。紆余曲折の末、勝矢組に乗り込んだ瑠偉子は勝矢組組長・公男の口から思いがけない真実を知ることになる。
スポーツ用品メーカー「ハートスポーツ」で若くして広報部部長に抜擢された堀池清美はやり手ながらも日々の仕事に忙殺されていた。だが接待の席で「忌憚のない意見」を言ったばかりに社長の機嫌を損ねてしまい、岐阜の工場に異動させられることに。失意の中、尾元と知り合い酒を酌み交わすが、今までの疲労がたたって心臓発作を起こし、過労死してしまう。5時間31分のロスタイムが与えられた清美は、部下や社長に今までの不満をぶちまけ、辞表を叩きつける。そんな中、今日が誕生日だと気づいた清美は開店の案内ハガキが届いていたレストランに予約を入れ、仲間たちに連絡するが、そこに誰一人現れないまま清美は最後のひと時を過ごす。
三浦謙太郎は大学受験に失敗して以来、自分の部屋に引きこもった生活を送っていたが、ある日、母・智恵子が用意した磯辺巻きを喉に詰まらせて窒息死してしまう。12時間のロスタイムが与えられたと判断した謙太郎は当初は状況を把握できずに困惑したが、特に何をするわけでもなくそのまま最後の時を迎える。ところが12時間と思われたロスタイムの時間が過ぎても死を迎えることも無く、12日、12週間の時を過ごしても謙太郎は一向に死ぬ気配を見せなかった。電光掲示板の故障が疑われる中で迎えた12ヶ月目に、ようやく謙太郎は与えられたロスタイムが12年であることを知る。しかしその時、智恵子が突然倒れ、救急車で運ばれてしまう。