別名:葛藤の始まり。 母の出自に悩まされ続けた英祖はそれだけに肉親への情が深かった。亡き母への思いで、深夜、涙することもあれば、妻や子供たちへの愛憎も激しく、感情をあらわに示して周囲の者を戸惑わせた。最も不幸なことは、息子である思悼世子に親子の情を抱けないことであった。世子は英祖を恐れ、英祖は世子を憎んだ。大妃のとりなしはかえって英祖の猜疑心を生み、世子妃、恵嬪ホン氏の助言に応じて学問に励みだした思悼世子の努力もむなしかった。