「天才」、「鬼才」、「反逆児」。様々な異名をとり、毒舌や破天荒な行動で注目された落語家・立川談志さん(享年75歳)。その真骨頂は、生涯をかけて究めようとした古典落語にある。「落語とは人間の業の肯定である」という持論のもと、登場人物の心理に独自の解釈を加え、晩年まで新たな境地を目指した。得意とした人情噺「芝浜」は、何度もストーリーや主人公の性格を違えて表現し、人間の本質を描こうと模索を続けていた。最後まで独自の芸を追及した談志さんの“生き様としての落語”から、現代人へのメッセージを読み解く。