ルポライターの浅見光彦(中村俊介)は歴史探訪と観光スポットの取材で山口県の下関を訪れた。帰途につく高速バスの車中で、浅見は池宮果奈(松本莉緒)という女性と出会う。浅見の一列前の座席に、赤間神宮の耳なし芳一堂で見かけた古老が座った。浅見と果奈が話していると、古老が「あ、あの女にやられた!」と断末魔の声を振り絞りながら、崩れ落ちていった。古老は、東京・田園調布在住の永野仁一郎(勝部演之)という名前で、永仁産業の元社長だった。死因はアルカロイド系の毒物による急性心不全だった。所持品には、一通の封書があり、裏には「耳なし芳一」の五文字があった。中には便せんが一枚入っており、「火の山で逢おう」と書いてあった。永野の妻・依江(池内淳子)は、浅見の母の雪江(野際陽子)の女学校時代の先輩で、雪江の憧れの人だった。永野の遺品の手文庫から見つかった差出人が「耳なし芳一」の三通の書簡。一葉の便せんには、それぞれただ一行「七分の三」「七分の四」「七分の五」と書いてあった。浅見は母の雪江や果奈と共に山口県を訪れ、差出人が「耳なし芳一」の手紙の謎、殺人事件の真相を追う。「七分の三」「七分の四」「七分の五」という暗号の意味は? 赤間神宮の耳なし芳一堂で、浅見が永野を見かけた時に、七里塚の前で琵琶を弾奏していた年配の女性(長山藍子)の正体は?