昭和九九年。佐渡ヶ島。 日本は大国との戦争の渦中にあるが、 日本最大の離島である佐渡ヶ島は戦火に巻き込まれることなく、 外部からもたらされる限られた情報と島内の伝統が混ざり合い、 独自の文化が発展を遂げていた。 島の能文化の象徴である流派、鍍金流(ときんりゅう)。 次代当主の硲(はざま)、弟弟子の吾潟(あがた)と下戸(おりと)三人は 家元の千種(ちぐさ)とその妻、願(ねがい)や歌見(うたみ)らと 慎ましいながらも静かな時を過ごしていた。 が、一つの便りがその未来に影を落とすー
No lists.
No lists.
No lists.
Please log in to view notes.