昭和初期、九州小倉の暴れ者、田川正一がどう間違ったか東京の近衛連隊に入隊した。見送る母たねの励ましに勇気づいた正一は意気揚々だったが、背中一面昇り竜の刺青をした正一を古参兵たちは軍律をたてに何かにつけて眼の仇とした。ある日、短剣術の訓練で正一は小平班長を失神させてしまい、それ以来、小平は以前にもまして正一に辛くあたるようになる。それから数日後、小平の私刑を受けた初年兵の白井の無残な姿を見て「正一は古参兵を殴り倒し、小平を帯剣で刺そうとしたが、梅沢軍医に制止される。その時、宙を蹴った小平の足が梅沢を階段から落してしまう。やがて骨折した梅沢は退役することになる。営倉入りした正一のあまりのしぶとさに音を上げた軍では、正一を肺病として除隊させた。除隊した正一ほ、ささいな事から大木戸一家の子分と大喧嘩、治療に寄った医院で現在開業している梅沢と再会した。そこで居候になった正一に娘の文子は何かと世話をするのだった。ところが、大木戸一家の親分に町工場のピケ破りを“お国の為になる仕事だ”とだまされた正一は、ピケ破りを決行する。だまされたとはいえピケ破りした正一に対し梅沢は激怒し、二人は喧嘩別れしてしまう。そんなある日、大木戸を襲った男がいた。梅沢の息子で元水神一家代貸、梅沢春吉である。ここ玉の井は五年前までは水神一家の縄張りであったが、成り上り者の大木戸が乗り込み、喧嘩をしかけ、春吉を刑務所に、水神親分を殺したのだった。大木戸を襲う春吉のドスに若者頭の杉町が殺された。来合わせた正一は大木戸を助けるため体当りで春吉を川へたたき込んだ。正一が住み込んでいる、柳寿司の主人源吉が水神一家の子分だったことから、大木戸は店をメチャクチャに荒し、尚も大木戸一家の手は梅沢医院にまでおよんだ。正一の機転でことなきを得る梅沢だったが、“人殺し”の春吉にガックリする。芸者小半に惚れ込む正一は、春吉の女と知らずに自分の気持を伝え、意気揚々と引きあげてくる。その正一を待っていたのは九州から来た母、たねであった。小半の呼び出しで小料理屋「とよた」に出かけた正一は、小半から春吉を紹介され、二人の関係を聞かされる。「幸福になって下さい」と男らしい所を見せる正一に春吉は「親父を頼みます--」と何かを決意した言葉をかける。春吉が大木戸一家に殴り込むのだとさとった正一は、親子の対面をさせるべく梅沢を連れに走るが、いれ違いに大木戸は「とよた」に殴り込み、春吉は代貸大沼の拳銃で倒れる。梅沢の手術のかいなく息を引きとる春吉。怒る正一に「男なら、やる事があるだろう」とたねは強い言葉をかける。梅沢の軍用モーゼル銃とサーベルを手に正一は大木戸一家へと殴り込む。双肌脱ぎになる正一、昇り竜が躍る。怒り狂ったように大木戸一家を倒していく。逃げまとう大木戸を見事倒した正一は、たねを背負って警察官に連行されていった。
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