十五年前、兄貴分・銭村の殺しの罪を被ってアメリカに渡っていた津吹徹が帰国した。津吹は、アメリカの暗黒街のボス・ロボの代理として、筑波山麓に新設されるオート・サーキット建設の契約締結のために来日したのだった。この津吹を出迎えたのが東海興業社長鏑木辰夫だ。鏑木は早速津吹をホテルに迎え入れ、政界の実力者・田所剛造を加えて、商談を始めた。しかし津吹が持ちだした、出資額の一割というマージンを鏑木は受け入れず、二人は喧嘩別れとなった。帰途、津吹は札つきの新聞記者・庄司に会い彼の言うまま国友会に乗りこみ、商談を持ちかけた。意外にも、国友会の会長は銭村であった。しかしここでも、津吹が取る一割のリベートの件で商談は成立しなかった。が、数日後、ホテルに帰った津吹のもとに、鏑木がリベートを含む契約を承諾した知らせが来た、しかし、翌日、津吹が鏑木を訪れると、出資元の田所が銭村に寝返ったというのだ。津吹は一計を案じ、田所の娘律子を誘い出し、律子を使って銭村のもとから田所を連れだした。窮した銭村は、鏑木に条件を出してきた。明日行われるオートレースの一着を賭けその勝者がロボとの契約をしようというのだ。鏑木も津吹もこれを承諾した。銭村は早速、絶対本命の選手・根上を出場不能なまでに殴りつけ、なにくわぬ顔で鏑木に根上を指名させた。しかし根上は無理を押してレースに出場し一着になった。津吹は翌日、鏑木から金をまきあげ、今では忘れられぬ人となった銭村の情婦冴子のもとを訪れ、来合わせた銭村を射殺した。そんな津吹を庄司が所属する同志会のやくざが取りかこんだ。包囲を破って脱出した津吹の車は鉄柵に激突し、金の入ったバッグをにぎりしめた津吹の身体は宙に飛び息絶えた。
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