昭和初期。橘真一の父は極東貿易の社長だったが、番頭の南海に裏切られ、ロシアのスパイとの汚名を着せられて自殺した。少年真一は父を死に追いやった憲兵を殺し、逃亡したが、十五年後、ついに捕われて網走刑務所に送られた。牢内で、牢名主のデカ虎に殺されようとしていた吉を助けた真一は、自ら牢名主になることを宣言した。敗れたデカ虎は典獄と組み、真一を亡き者にしようと計画したが、いつも失敗していた。ある日、典獄に対する反逆で独房に入れられた真一は、隣室への抜け穴を発見し、瀕死の日系ロシア人と会った。真一は、死んだロシア人の棺に入り、脱獄に成切した。おもしをつけられ荒海に投げ込まれた棺から真一が抜け出ようとは、誰も思わなかった。やがて真一は、今は極東貿易の社長におさまっている南海の支配する土地に姿を現わし、ナイフ使いの轟と知り合った。父の仇を晴らすべく、南海の屋敷に忍び込んだ真一は、見つかって雪子にかくまわれた。かつて真一と将来を誓った雪子は、今は南海の妻になっていたのである。真一の失意は大きかった。卑劣漢の南海も雪子には優しく、彼女の誕生日に盛大なパーティを開いて、ダイヤの首飾りを贈った。そこへ現われた真一は父の仇と南海に拳銃を向けたが、その時、ダイヤを狙う辰や轟たちに雪子が誘拐され、真一は雪原に彼らを追った。辰はダイヤをひとり占めにしようと仲間のタニーを殺し、マキを傷つけ、怒った轟に殺された。そこへ真一が駆けつけたが、轟と真一は南海とその手下に囲まれた。真一の目的を知る轟は、雪子と引換えに南海が真一と決闘するよう申入れた。この一対一の対決で、南海は雪を赤く染めて倒れ、真一は父の仇を討った。真一は、轟と共に馬をならべて、大雪原の彼方へ去って行った。
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